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うるう秒

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うるう(閏)秒とはなんでしょう

数年に1度、日本時間では9時00分00秒の1秒前に、8時59分60秒が入れられることがあります。この8時59分60秒のことを「うるう秒」といいます。

うるう秒は、うるう年のように規則的にやってくるかといえばそうでもありません。
2012年の前には、2008年、2005年、ぐっと離れて1998年、すぐ前年の1997年とやってきているのですが、一体なににもとづいて、なんのために設けられているのでしょうか。

ちょっとよりみち

いつ、うるう秒をいれるか

うるう秒は、日本時間では、7月1日か1月1日の8時59分59秒と9時00分00秒の間に挿入されることになっています。


この二つの日が第一優先の実施日です。第二優先が3月末日か9月末日で、極端なことをいうと、毎月末日にうるう秒があるという可能性もあるのです。

しかし、今のところ、第一優先を使うだけで済んでいます。

後ほどふれますが、うるう秒は、加えるだけでなく取り去る場合もあり得ます。


これまで起こったことはありませんが、うるう秒を取り去る場合は、日本時間では8時59分59秒が飛ばされて、8時59分58秒のつぎが9時00分00秒になります。

うるう秒を取り去る場合も実施日の優先順は同じです。

そもそも「うるう(閏)」とは

「閏」というのは、暦の上で1年の日数や月数などが平年より多いことをいいます。
もともとは暦の上の季節と実際の季節とのズレを調節するためのもので、この意味では「閏」は暦の歴史とともに古いといえるでしょう。


現代のわたしたちにおなじみの太陽暦では、4年に1回(400年間に97回)、2月を1日多く(「うるう日」)します。
実際の地球の公転周期が1年365日より少し長いこと(およそ365.25日なので、0.25日を4倍して一日の長さになります)からくるズレを、「うるう日」で調節するわけです。

一方、江戸時代まで使われていた太陰暦では、月の満ち欠けの周期(およそ29.5日)を一月としていました。
これを12回くり返して「1年」としていたのですが、これだと、29.5日の12倍、354日にしかならず、地球の公転周期におよそ11日も足りないことになります。
そこで、3年に一回程度の割合(11日の3倍でだいたい一月の長さになります)で、「月」を1つ多く設けて(「うるう月」)1年を13ヵ月としました。


うるう年とは、このような「うるう日」や「うるう月」がある年のことを言うのです。

うるう日もうるう月も昔からあって、実際の地球の公転周期と、天体観測の精度が現代ほど高くなかった頃に作られた暦とのずれを調整していました。
地球が太陽の周りを回って去年と全く同じ位置にくるのはいつなのか。このことが正確に測定できなければいけなかったのですから、暦作りが大変難しい作業であったことがうかがえます。


ところで、同じ「うるう」の文字がついても、「うるう秒」が現れたのはついここ数十年のことで、ずいぶん違ったものを調節しています。
次にそれを見てみましょう。

ちょっとよりみち

「うるう日」はなぜ2月にあるのか

わたしたちが現在使っているグレゴリオ暦の起源をたどると古代ローマの暦が現れます。


このローマ暦はもともと農耕暦で、春の始まりの月(マルティウス、英語のMarch、3月)が1年の始まりでした。
冬の最後の月であるフェブルアーリウス(February、2月)は1年の最後の月で、2月23日の後にうるう日を置いて暦の調節がされていました。
これが2月で暦の調節をするようになった由来です。


後の改暦でヤーヌアーリウス(January、1月)が1年の始まりになっても、さらに、有名なユリウス暦が実施されても、うるう日は、2月23日の後のままでした。

現在の暦であるグレゴリオ暦になって初めて、うるう日は2月29日となりました。
けれども、うるう日によって決まる昔からの祝日を重視する国や地域では、今でも2月24日をうるう日としているところがあるのです。

どうやって1秒間の長さを定めるか

1日は24時間、24時間は1440分、1440分は86400秒。
もともとが正午から次の正午まで、地球の自転運動に基づいて生まれてきた単位ですから、地球が1回自転するまでの時間を86400で割った長さを1秒間とすれば、実生活にも即して都合がよいのです。
事実、1秒間の長さは長らく太陽や恒星の動きの観測に基づいて定義されていました。


ですが、19世紀から20世紀にかけて天文学的観測が、20世紀に入って時計の精度が、飛躍的な向上を遂げます。
その結果、地球の自転周期には1~2ミリ秒程度の誤差が見つかったのです。
つまり、地球はいつも正確な回転をしているわけではなくて、自転速度が極々微妙に変化しているので、1回自転する時間も変化するため、それを86400で割った1秒間の長さも変化してしまうことになります。
長い間、天体の運行を観測することによって時間の長さを決めていた人間は、今や当の天体運行を観測するために、より精度の高く安定した秒の長さを自ら決めることが必要になったのです。

この問題に最終的に答えたのがセシウム原子時計です。
1967年、セシウム原子時計の刻む1秒が1秒ということになり、秒は次のように定義されることになりました。

1秒=「セシウム133の原子の基底状態の2つの超微細準位間の遷移により放射される電磁波の周期の9192631770倍に等しい時間」

人間は、原子核の示す現象に基づく時間を手に入れたわけです。

うるう秒が取り持つもの:国際原子時、世界時、協定世界時

さて、原子時計の示す揺るぎない時間を手に入れたわけですから、一から十までそれに従ってしまえば話は単純なのですが、なかなかそう簡単にはいきません。

原子時計の示す正確な時間で地球の自転周期を計測すると、完全に一定ではありませんから、長い間には原子時計の示すお昼が実生活上は全然お昼ではないということも起こります。
原子時計は、言わば正確無比なものさしのようなもので、計測には重宝します。
しかし、朝→昼→夕→夜→朝、春→夏→秋→冬→春、のように移ろい行く環境の中、私たちの日々の生活には、周期的な変化を見せる地球という星の都合に合わせた時間(世界時)が必要とされています。


一方に、1920年代から使用されてきた天体観測に基づく世界時(UT)があり、もう一方には、1958年1月1日を起点とした、原子時計に基づく原子時があります。
その両者を取り持つものが必要でした。それが、1972年、国際原子時(TAI)の成立とともに導入された、新しい協定世界時(UTC)です。

協定世界時は、国際原子時に基づく時間で、1秒間の長さは同じですが、お昼に太陽が南中するように、1秒単位で補正を加えます。(協定世界時は、天体観測によって定められる世界時の一つUT1との差が0.9秒以下になるように決められています。)


この1秒間単位の補正こそが、うるう秒なのです。

うるう秒は挿入される場合と除去される場合があり得ますが、現在までのところでは、挿入しか行われていません。2016年の時点でUTCは国際原子時から36秒遅れています。


UT1は、地球の自転の速さによって変動しますから、UT1とUTCの差は地球の自転の速さ次第ということになります。
うるう秒の到来がうるう年とちがって定期的でないのにはそこにも原因があります。
協定世界時(UTC)は、国際原子時(TAI)と世界時(UT/UT1)との間を取り持っていて、うるう秒は、そのために働いています。


うるう秒は、地球の自転の動きによる実際の昼夜と、原子時の示す昼夜との間を調節しているのです。

ちょっとよりみち

うるう秒の設定が必要な電波時計、必要ではない電波時計

電波を受信して、自動的に時刻を修正する電波時計は、近年ではすっかり身近なものになりました。


電波時計にはうるう秒に関する設定が必要なものと必要でないものがあるのをご存じでしょうか。
電波時計には、地上の送信所からの電波を受信して時刻を修正するものと、GPS衛星からの電波を受信して時刻を修正するものがあります。
地上の送信所からの電波(標準電波)は常にUTCに基づいていますので、うるう秒が生じるときには、うるう秒こみの時刻情報が送信されます。
その電波を受信すれば自動的にうるう秒分も修正されるのです。
ところが、GPS衛星からの電波は1980年1月6日のUTCを基準として設定され、国際原子時から19秒遅れの状態を保持したまま時刻情報(GPS時刻)を送信しているので、現在のUTCを知るためには、受信側でうるう秒分の補正をしなければいけません。


ですので、GPS衛星からの電波を受信する電波時計では、手動でうるう秒を設定するか受信するかして、時計の側でうるう秒の情報を保持しなければならないのです。