story #04

内なる情熱に、耳を傾ける。

CHAN LUU

デザイナー

エシカルファッションの先駆者としてアメリカン・ドリームを叶え、
社会貢献にも力を注ぎ続けるCHAN LUUさん。
ベトナムで生まれ、どのようにして今の幸せを手に入れたのでしょうか。

ファッションの世界への憧れ

私がアメリカに来たのは、ベトナムからの留学生としてでした。
それまでベトナムのニチャンという、ファッションとはまるで無縁の小さな海辺の町で育ちました。
雑誌を読むことでしかファッションの世界を知ることができなかったのですが、
その美しい世界に魅了され、私もこの世界の一員になりたいと熱望していました。
そしてベトナム戦争を機に1972年に渡米。
ボストン大学で経営学を学んだ後、ロサンゼルスへ移ってファッションの名門大学(FIDM)でファッションデザインの学位を取得しました。
卒業後、ヨーロッパから洋服やアクセサリーを買い付け、
ついにローリングヒルズエステートに自分のブティックをオープンすることができました。

旅から生まれたブレスレット

1996年、インドを旅行した際に修行僧が腕に巻きつけていたレザーブレスレットから
インスピレーションを得てジュエリーをデザインしたところ、瞬く間に人気商品に。
CHAN LUUのシグネチャーアイテム、ラップブレスレットが誕生しました。
多くのセレブリティたちが身につけてくれたことで世界中から注目が集まり、
グローバルなブランドへと成長することができました。
熟練された職人の手によってひとつひとつ手作業で作られる、
現代的でありながら温かみのあるプロダクトは、今も世界中で愛されています。

母の日の、忘れられない光景

私のデザイナーとしてのキャリアの中で、最初のターニングポイントとして覚えているのは、
母の日の週末にニューヨークのサックス・フィフス・アベニュー(米高級百貨店)のウィンドウの前を通りかかると、
ディスプレイが全てCHAN LUUで埋め尽くされていたことです。

私の想像をはるかに超えた光景でした。
この経験は私の認識を大きく変えました。
努力すること、そして自分の仕事を愛すること、
そうすればどんなことも成し遂げられると証明されたのです。

エシカルという責任

私にとってファッションがエシカルであることは責任であり義務ですね。
無責任な生産が、環境破壊や低賃金労働を生み出していく場面を私たちはこれまでに見てきました。
2013年に起きたバングラデシュのビル崩落事故の悲劇は、私たち生産者、そして消費者への大きな警笛です。
環境への悪影響を最小限に抑えながら、人々や地域社会への利益を最大にするためのデザイン、材料調達、生産背景を考慮しなければなりません。

私がエシカルファッションに不可欠だと考える3つの要素は「使用される原料」「生産に関わる人々」「商品を購入する消費者」。
その上で、私はトレンドにとらわれない長く愛されるものづくりを心がけています。
本当の美しさとは、視覚も感覚をも揺さぶるもの。
美しいデザインとはオーセンティックで人間味があり、愛と時間をかけて生み出された不変のものだと思うからです。

新しい私になるために

新しい自分になりたい、新しい時間を始めたいと感じているのなら、
自分自身が何に対して関心を持っているかを深く考えてみてください。
もっとも重要なことは、内なる情熱に耳を傾けること。
私は情熱こそが成功へと導く糧であると強く信じています。
大きくても小さくてもいいので、クリアな目標を持って、どうか突き進んでください。
日々勉強を怠らないこと、とくに読書やリサーチは大きな自信となるはずです。

今の私にとっての幸せは、日常生活のバランスをとりながら、健康を心がけ、家族や友達と過ごし、
内省するための自分の時間を持ち、そして自然と触れあうこと。
私はピアノを弾くこと、絵を描くこと、そしてガーデニングが大好き!
そんな生活をとても愛しています。

CHAN LUU(チャン・ルー)

ベトナム出身のデザイナー。
1996 年にハンドクラフトプロダクトを主軸とした
グローバルなコンテンポラリー ファッションブランドCHAN LUUを設立。
デザイン活動を通してエシカルな取り組みを続けている。

CHAN LUU/チャンルーオフィシャルサイト

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