スーパーチタニウム™

強く、軽く、やさしく

人が身に着ける腕時計にとって、ふさわしい素材とは何か。1970年、チタニウムが宇宙用素材として注目されるなか、シチズンは世界初のチタニウムケースの腕時計を発表。以来、進化を重ねてたどりついたひとつの答えが、キズに強く、軽く、肌にやさしく、サビにくい、シチズン独自の素材「スーパーチタニウム™」です。


日常生活で腕時計にキズをつけてしまうこと、ありませんか?スーパーチタニウム™は、本来軟らかい素材であるチタニウムにデュラテクト(表面硬化技術)を施すことで、ステンレスの5倍以上の表面硬度を実現。すりキズや小キズから時計本来の美しさを守り、あなたの行動力をサポートします。


腕時計は一日中身に着けるものだから、少しでも軽いほうがうれしいもの。スーパーチタニウム™は、ステンレスの約1/2の軽さ。快適な着け心地が続きます。仕事でも家事でも趣味でも、何かに夢中になる時に、その軽さが味方になってくれるはずです。
* ステンレスよりも約40%軽い。


できるだけ多くの方に、腕時計を楽しんでほしいから。スーパーチタニウム™は、耐ニッケル、耐メタルアレルギー。アレルギー体質の人はもちろん、ご家族やパートナーにアレルギー体質の人がいる場合でも着用することができます。
* 耐ニッケルアレルギー、耐メタルアレルギーに対応しているのは、スーパーチタニウム™を採用した製品のうち一部のモデルとなります。


サビは、美しさの天敵です。スーパーチタニウム™は、サビにくい性質のため、日常のあらゆるシーンで安心して着用可能。汗にも強く、変色しにくい性質のため、美しさが長く続きます。
※ バンド内部のピンはサビることがあります。定期的な洗浄をお勧めいたします。

About Super Titanium™

スーパーチタニウム™には
こんな技術が詰まっています。

シチズンだけの素材です。

スーパーチタニウム™とは、チタニウムに独⾃の加⼯技術とデュラテクト(表⾯硬化技術)を施した、シチズンだけのオリジナル素材です。

真似のできない
チタニウム加工技術。

実は、チタニウムはとても軟らかく扱いにくい金属。細部にこだわる製品に加工するのはとても難しいのです。シチズンでは、長年にわたりチタニウムを研究し、独自の加工技術を発展させてきました。厳選されたオーダーメイドのチタニウム素材にもこだわるとともに、他ではできないプレス加工、切削加工、研磨加工を通して美しい仕上げを実現しています。

プレス加工 チタニウムを成形する。

チタニウムを熱間鍛造することで、形状を転写するプレス加工。鍵となるのが温度管理と離型の技術です。チタニウムを高温に加熱して変形抵抗を小さくし、さまざまなプレス成形を可能にしています。金型からはみ出した余分な部分を切り落とす際には、金型へのチタニウム屑の付着を防止。軟らかく粘りがあるため加工が難しいとされるチタニウムをきれいに切り落とします。

切削加工 カタチを仕上げる。

プレス加工で成形したチタニウムを、細部まで思い通りに仕上げる切削加工。チタニウムは軟らかく粘りがあるため、切削加工中に工具の刃先にチタニウム屑が溶着しやすく、加工面が荒れやすいことが課題でした。シチズンは、切削用冷却油・潤滑剤・切削速度などのテストを繰り返し、安定して加工ができる条件を確立。その一つひとつに、独自のノウハウが詰まっています。

研磨加工 美しく磨き上げる。

正確に削ったチタニウムを、職人の手で美しく滑らかな鏡面に磨き上げる研磨加工。しかし、軟らかく粘りがあるチタニウムでは、表面が凹凸になる現象が生じてしまいます。シチズンでは、熟練の職人の技術と、バレル研磨やザラツ研磨、バフ研磨など複数の技術を組み合わせた独自の研磨法で、他社では真似できない美しい輝きを実現しています。

高精度加工技術 より緻密に、美しく。

シチズンでは、切削と研磨の専用加工機を新しく自社で開発。最先端の5軸制御加工と組み合わせることにより、圧倒的に滑らかで限りなく鏡に近い鏡面部、交点が寸分の狂いもなく交わるシャープな稜線など、さらに高精度な加工技術へと進化させています。最後は熟練した研磨職人が最終仕上げを施します。高精度加工と職人による研磨仕上げのハイブリッドな加工技術で、高品質なチタニウム加工を実現します。

クオリティを⾼める
洗浄技術。

プレス加⼯、切削加⼯、研磨加⼯の後、チタニウムにデュラテクト(表⾯硬化技術)を施すにあたって⽋かせないのが、前⼯程の「洗浄技術」です。何種類もの洗浄液を使い分け、これまでの⼯程で付着した油などの汚れを⼊念に取り除いていきます。微細な汚れさえ逃さずに洗い流すこと。その徹底した洗浄技術が、この後のデュラテクト(表⾯硬化技術)のクオリティ向上へとつながります。

そして、最終工程の
デュラテクトへ。

加工と洗浄の後、いよいよチタニウムにシチズン独自の表面硬化技術「デュラテクト」を施すことで、チタニウムはスーパーチタニウム™となります。デュラテクトには「素材をコーティングする方式」「素材自体の表面を硬くする方式」「その両方を複合的に施す方式」の3つの種類があり、腕時計の目的に合わせたデュラテクトを施すことで、硬度や色調を自在にコントロールしています。詳しくは、デュラテクトのページをご覧ください。

デュラテクトを見る

Super Titanium™ Story

スーパーチタニウム™の
挑戦と進化のストーリー。

宇宙用素材で
腕時計をつくる。

人類初の月への有人宇宙飛行「アポロ計画」に世界が湧いていた1960年代。チタニウムは、軽くて強くてサビにくいという特性から、宇宙用素材として注目を集めていました。「チタニウムは、人が身に着ける腕時計にとって理想の素材なのではないか」そんな発想からシチズンのチタニウムの研究は始まりました。

世界初の
チタニウム腕時計。

1970年、シチズンは研究と開発の末、ついに世界初のチタニウム腕時計「X-8」を発表しました。アポロが月面着陸を果たした、わずか1年後のことでした。未知の記号として用いられる「X」と、無限大の記号として用いられる「8」を組み合わせた 「エックスエイト(X-8)クロノメーター」という製品名には、チタニウムという未知の素材が持つ、無限の可能性への思いが込められています。

加工との戦い。

1970 年に世界初のチタニウム時計を発売したシチズンでしたが、その仕上がりは満足のいくものではありませんでした。理由はチタニウムの加工の難しさです。当時技術者の間では、打てない・削れない・磨けないの「加工三重苦」と呼ばれていました。チタニウムは非常に軟らかい金属のため、工具の先にチタニウム屑が溶着したり、燃焼したり、いくら研磨をしても鏡面にならない。これに対しシチズンはあらゆる方法を徹底的に試しました。そして紆余曲折を経て、他社には真似できないシチズン独自の加工技術を生み出すことになります。

ATTESA、誕生。

加工技術の進化の中で、チタニウムの耐メタルアレルギー性の特性もわかってきました。そして、人にやさしい腕時計を目指した結果、17年の研究開発を経て、本格的な商品開発に至ったのが1987年に日本で発売されたATTESAでした。

一人でも
多くの人へ。

1990年代、シチズンはチタニウムの耐アレルギー性にさらに着目し、研究を重ねました。皮膚科医などの協力を得て、金属アレルギーの患者にチタニウム時計の臨床実験を実施。医師による裏づけを得ることで、チタニウムの耐メタルアレルギー性を実証しました。一人でも多くの人が腕時計を着用できる世界へ、また一歩近づくことができました。

より強く。
より美しく。

チタニウムへの挑戦は、その後、デュラテクト(表面硬化技術)を施した「スーパーチタニウム™」として進化を遂げました。より強く、より軽く、より肌にやさしく、よりサビにくく、そして、より美しく。シチズンの多くのモデルで採用されると、さまざまなデザインが生まれ、スーパーチタニウム™の可能性は大きく広がりました。

未来へ。
そして、宇宙へ。

2019年、シチズンは月面資源開発に取り組む宇宙スタートアップ企業「ispace」のHAKUTO-Rプログラムにおいて、コーポレートパートナーという立場で、支援を開始。ランダー(月着陸船)の着陸脚部分にスーパーチタニウム™を提供しました。2023年には、HAKUTO-Rのランダーがついに月面への着陸を試み、貴重なノウハウとデータを獲得。さらなるチャレンジに向けて、今も開発が進行中です。
宇宙へのロマンからはじまったスーパーチタニウム™が、その宇宙へと旅立つ。シチズンは、この素材の可能性をこれからも探し続けていきます。

※ 現在は生産されていないモデル、日本未発売モデルも掲載されています。