ダイバーズウオッチ

潜水作業では、海に入る前にベゼルを回転させて目標時間を設定することで、水中で何分経過したかがわかるようにしておきます。いわばタイマーです。ダイバーズウオッチの「逆回転防止ベゼル」は、一定方向（反時計まわり）にしか回転しないベゼルのこと。反時計まわりにしか回転しないのは、海藻がからまったり誤操作などによりベゼルが時計まわりに動いてしまうと、実際の経過時間より短く認識してしまう危険があるからです。物理的に誤操作を防ぐ工夫がダイバーの命を守ります。

一般的な時計のりゅうずは、簡単に指でまわすことができます。しかしダイバーズウオッチでは、りゅうずをケースに固定する「ねじロックりゅうず」と呼ばれる仕様になっています。簡単に操作することができないため、水中での誤作動を未然に防ぐとともに、高い防水性を確保しています。「ねじロックボタン」も同様に、簡単には押せない仕様になっています。

ハードでアクティブに動くダイバーが泳ぎに集中できるように、しっかりと腕に固定できるのが「ダブルホールディングバックル」。中留を２回操作しないとはずれない安全性に配慮した設計が特長です。シチズンでは、バンドを締めた状態で約20kgの力で引っ張ってもはずれないテストをクリアした高強度のバンドのみを採用。また、ラチェット付きダブルホールディングバックルは、20mmまで長さを伸ばせるため、ウェットスーツの上からでも着用可能。アウトドアギアとしての使い勝手と安全性にこだわっています。

海の中は、想像以上に暗く、また水のゆらぎによって視認性が低下します。シチズンでは、針や文字板に薄明かりでもくっきりと表示を読み取れるデザインを施すとともに、光を蓄え、暗いところで発光する塗料を針や文字板に使用。時刻はもちろん、潜水時間表示の視認性も確保しています。また夜光塗料には、放射性物質などの有害物質を一切含まない、人体や環境に安全な物質を使用しています。

海の中の過酷な状況では、腕時計が岩礁や身に着けている機材などにぶつかることがあります。シチズンのダイバーズウオッチの一部のモデルでは、衝撃に耐えうる堅牢性はもちろん、万一の場合でも、衝撃を検知して針ズレを瞬時に防止する「衝撃検知機能」を搭載するなど、時計本来の役割を果たせるような工夫をしています。

飽和潜水用（スキューバダイビングではできない深度での長時間作業を安全に行うことを可能にした潜水方法）の時計にとって、ヘリウムガスは天敵。ヘリウム原子はプラスティックを透過するほど小さいため、時計内部に侵入しケース内圧を上昇させ、ガラスやムーブメントに損傷を与える恐れがあります。シチズンの飽和潜水用ダイバーズウオッチでは、ヘリウム混合ガスの加圧試験行い、ダイバーの安全を確保しています。また飽和潜水用の一部のモデルでは、時計の内外差で自動的に開閉する「ヘリウムガス排気バルブ」により、時計内部に侵入したヘリウムガスを排出することで、減圧時の時計の破損や損傷を防いでいます。