PEOPLE 03

TAKAHIRO HONMA

Backpackers' Japan CEO

砂時計のくびれの部分のように
多様な人が自然に集まる場所を作りたい

外国人旅行者の増加や、今までとは違う旅行がしたいと考える若年層に高い支持を誇り、近年増加するリノベーション型ホステル。その先駆けとなった蔵前の「Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE」は一階にカフェ&バースペースを擁し、宿泊者や地元民が交流できる場所を作ったことで、現在日本にあるオープンなゲストハウスのモデルとなった。さらに京都の「Len」、東日本橋の「CITAN 」 など、続々と新しい形の宿泊施設を展開し、注目を集める「Backpackers' Japan」
その代表の本間貴裕さん。『あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を』という理念のもと、国内外を飛び回る本間さんにとって、腕時計は「本来の自分」を思い出させてくれる、お守りのような存在だ。

本間「宿泊施設を一つ作るためにはすごく手間がかかります。特にNui.を作る時は作業・工事しながら金策していたので、ワーッと現場で工事して、スーツに着替えて、プレゼン行って、帰ってきて、また作業して…。そんな時、例えば外国で初めての場所で環境に慣れていないときも、自分の腕時計を見ると落ち着くんです。日常生活でずっと一緒に過ごしているものを、見知らぬ土地に行っても着け続けることで、ちょっと安心するんです」

本間さんが求めるのは、重要な会議などのビジネスシーンでも、ホテルの施工現場などのカジュアルシーンでも違和感のない腕時計。「アテッサ」はビジネスシーンでもカジュアルシーンでも違和感のないデザインが特徴だ。本来軟らかい素材であるチタニウムにシチズン独自の表面硬化技術(デュラテクトDLC)を施したスーパーチタニウム™により、ステンレスの5倍以上の硬度でキズに強く、自然光で表情が変わる艶のあるブラックになっている。
本間「この、黒とオレンジの組み合わせのデザインがすごくいいですよね。機能性と美しさ、シンプリシティを感じるデザインで、男の子心をくすぐるというか…どんなシーンでも着けていけますね。個人的に黒とオレンジはすごく好きな組み合わせで、今日のコーディネートもそうなんです(笑)」

GPS衛星電波時計のため、ボタン1つの操作で現地の時刻を受信し時刻合わせが簡単。また、10気圧防水のため海に入ることもできる。
本間「見た目は重厚感があるのに、着けたら軽くてびっくりしますよね。サーフィンもするので海に入れるというのもすごくいいし。旅に行くとシャワー浴びる時も、寝るときもずっと腕時計をつけ続けていたりするので、時計はもう心の友みたいな存在です」

Backpackers' Japanが作る空間では、自然なかたちで見知らぬ人同志が交流できるような雰囲気がある。日本では珍しい光景が繰り広げられているのもBackpackers' Japanの施設の特徴だ。
本間「本来は、知らない人に話しかけるのってすごく疲れるじゃないですか。僕もシャイで人見知りなので、場に入れない時は隅っこで早く時が過ぎないかなと思ってます(笑)。今は核家族化や、SNSなどもあるし、リアルで人と繋がることに必然性がなくなった。だからこそ僕たちの工夫によって居心地のよい空間を作りたい。まるで砂時計のくびれの部分のように、広いものがぎゅっと集まる空間をずっと意識しています」

見知らぬ人とも自然に交流できる空間。それは本間さんのこだわりによって、細かく計算されたものだ。
本間「照明のひとつひとつから、テーブルカラー、壁の角度まで細かく計算しています。例えばこのCITANだと全部の壁の角度を斜めに変えたり、本棚をギザギザの角度にすることで、音響が良くなっているんです。サウンドデザインを取り入れたんですよね。そうすると、空間の音楽の音量を上げても、会話ができるんですよ。音楽イベントでも、隣の人と気軽に会話できる雰囲気が生まれるんです」

Backpackers' Japanのホテルやホステルでは、毎週のようにイベントが開催されている。Backpackers' Japanはフラットな組織で、全員が決定権を持っており、発案者が全ての決定権を持つ。スタッフたちが自ら考え、実行まで移す権限を持っているからこそ、多様なイベントを発信し続け、そこに人が集まる流れをつくり出している。
「いろいろな人たちが集う空間を作るためにはどうすればいいのか」、それを考え続けるカルチャーがBackpackers' Japanの全スタッフの共通点なんです。実は、スタッフでホテル経験者ってほとんどいないんですよ。他業種からが9割くらいです。僕たちの理念がいいなと思った人たちが入ってくれて、そこを目指す人たちが働いてくれているので、安心して任せられるんです」

Backpackers' Japanの宿泊施設はそれぞれ多様な個性を持っているが、本間さんにとって「良いホテル」の定義とは一体なんなのだろうか?
本間「そこに在り続けるホテルですね。人に求められて、人に愛されて、時間の試練に耐えて、やっとそこに在り続けることができる。自分たちが作るホテルも、はっきりしたコンセプトを持って作っているのに、建ててから2、3年経ってからようやく全貌がわかるようになるんです。ホテルは建てたら終わりじゃないですからね。2段階ロケットみたいなもので、成層圏突破するまでは推進力勝負で、成層圏を突破したら、安定して飛ばして、そこから自分たちの意義が見えてくるというか…何軒建ててもそれは変わらないですね」

取材当日、CITANと新しく建設中のホテルを行き来するために本間さんは愛車(自転車)で軽やかに移動をしていた。運営している宿泊施設で働いているスタッフにも自転車で移動をしている人が多いという。

現在は、2020年2月に兜町にオープンする新ホテルの準備に飛び回る本間さん。兜町も金融街というイメージがあるが、本間さんは一体どんなコンセプトを考えているのだろうか?
本間「蔵前もそうでしたが、兜町もいい意味で、「色がない」街なんです。いい意味で塗り直すことができる。そこに魅力を僕らは感じています。僕たちがやっているのは、考えられる分だけちゃんと考え続けて、考えたものをやり続けること。在り続けるというのは何も変えないということではなく、ずっと変え続けてこそ、そこにいられるんです。単純な話なんですが、一番難しいんですよね」
そこにあり続けるために、変わり続けること。歴史もバックグラウンドも全く違うが、シチズンの時計作りへの姿勢と、本間さんの理念が重なって見える瞬間だった。

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エコ・ドライブGPS衛星電波時計 F150: アテッサの高機能・高品質はそのままに躍動感のあるアクティブなデザインになったアテッサの新シリーズ、ACT Line(アクトライン)。
本機は、GPS衛星電波の受信機能を搭載したACT Lineのハイエンドモデル。

PROFILE : 本間貴裕

株式会社Backpackers’ Japan CEO代表取締役/ 株式会社Noum取締役。2010年、「あらゆる境界線を越えて、人々が集える場所を」を理念に掲げ、ゲストハウス・ホステルを運営するBackpackers’ Japanを創業。同年、古民家を改装した『ゲストハウスtoco.』(東京・入谷)をオープン。その後、『Nui. HOSTEL & BAR LOUNGE』(東京・蔵前)、『Len』(京都河原町)、『CITAN』(東京・東日本橋)、2019年「Hotel Noum OSAKA」(大阪・天満橋)をプロデュース、運営する。

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