加工するのが難しい、職人泣かせの素材と言われるチタニウム。
シチズンは、長年の研究開発と熟練の職人技でこの難題を乗り越えました。
チタニウムを金型で叩き、形状を転写するプレス加工。鍵となるのが温度管理と離型の技術です。チタニウムを高温に加熱して変形抵抗を小さくし、さまざまなプレス成形を可能にしています。金型からはみ出した余分な部分を切り落とす際には、金型へのチタン切り屑の付着を防止。軟らかく粘りがあるため加工が難しいとされるチタニウムをきれいに切り落とします。
プレス加工で成形したチタニウムを、細部まで思い通りに仕上げる切削加工。切削加工中に工具の刃先にチタン屑がくっついてしまうことと、加工面が荒れやすいことが課題となります。シチズンは、切削用冷却油・潤滑剤・切削速度などのテストを繰り返し、安定して加工ができる条件を確立。その一つひとつに、独自のノウハウが詰まっています。
正確に削ったチタニウムを、職人の手で美しく滑らかな鏡面に磨き上げる研磨加工。しかし、軟らかく粘りがあるチタニウムでは、表面が凹凸になる現象が生じてしまいます。シチズンでは、熟練の職人の技術と、バレル研磨やザラツ研磨、バフ研磨など複数の技術を組み合わせた独自の研磨法で、他社では真似できない美しい輝きを実現できるようになりました。
美しい鏡面仕上げのチタニウムに表面硬化処理を施すにあたって、欠かせないのが前工程にあたる洗浄です。何種類もの液を使い分け、これまでの工程で付着した油などの汚れを入念に取り除いていきます。表面硬化処理をこの上ないクオリティで仕上げるために、微細な汚れさえ逃さずに洗い流します。
そして、最終工程の表面硬化処理「デュラテクト」。チタニウムの表面に特殊な硬質化処理を施し、「硬さ」と「美しさ」を与えます。デュラテクトは「素材をコーティングする技術」「素材自体の表面を硬くする技術」「その両方を複合的に施す技術」の3つに分類されます。腕時計の仕様に合わせた技術を採用することで、硬度や色調を自在にコントロールしています。