INTERVIEW 時計ジャーナリスト・篠田哲生が語る 今、「SATELLITE WAVE GPS F990」を買うべき理由【後編】

なぜ日本人が高精度な腕時計を求め、
そしてシチズンがそれに応えるべく
「SATELLITE WAVE」を誕生させたのか―。
時計ジャーナリストの篠田さんに、その歴史を
語ってもらった前編に続き、
ここからは復刻モデル
「SATELLITE WAVE GPS F990」の
さらなる魅力について聞いていく。
ケース素材とムーブメント変更に見る、
徹底したデザインと装着感へのこだわり。
ロケットや宇宙をイメージして作られたディテールは、
男心をくすぐるギミックに溢れている。
そんな革新的な技術に裏打ちされた、深遠なる
コンセプトへ迫っていこう。

世界初の衛星電波時計「SATELLITE WAVE」の
誕生から
7年の時を経て帰ってきた、
シチズン「SATELLITE
WAVE GPS F990」。
ルックスこそ初代「SATELLITE WAVE」を
彷彿とさせるが、
単なる復刻ではない。
初代モデルのコンセプトを継承しながら大幅な
進化を遂げた、
最新のGPS衛星電波時計である。
前作同様、2018年のバーゼルワールドで
発表されるや注目を
集めているが、このモデルの
機能やデザインの進化について、
時計ジャーナリストの
篠田哲生さんに分析してもらうと、
「SATELLITE WAVE GPS F990」こそ、
この秋手にすべき時計であることが分かるはずだ。

宇宙とつながる時計が表現するスペーシーなデザイン

クオーツ革命後、シチズンはエコ・ドライブの開発によって時計をいつでも使えるようにするエネルギー革命を、その後は電波時計によって精度にも革命を起こした。そして2011年。シチズンは初代「SATELLITE WAVE」を生み出したことで、世界中のあらゆる場所で人工衛星から正確な時刻情報を取得できる“エリア革命”を起こし、“宇宙とつながる時計”を具現したのである。この初代モデルは、デザインコンセプトも宇宙を連想させるものとなり、それは最新モデル「SATELLITE WAVE GPS F990」にも継承されることとなった。

PROFILE

篠田哲生 Tetsuo Shinoda

時計専門誌からビジネス誌、ファッション誌、Webまで、幅広い媒体で
腕時計の記事を執筆し、数多くの講演も行う時計ジャーナリストの
篠田哲生さん。時計学校を修了した実践派でもある。

01

左が初代「SATELLITE WAVE」。ケースサイドや針、ダイヤルのデザインに至るまで、あらゆるディテールが変更されているが、“SATELLITE WAVEらしさ”はしっかりと継承されている。

02

「SATELLITE WAVE GPS F990」ではケース素材をセラミックからチタンに変更。また搭載するムーブメントを新開発のCal.F990に変えたことで、薄型化も実現。装着感を向上させている。

「2011年に『SATELLITE WAVE』を初めて見たときは、コンセプト、機構、そしてデザインに至るまで、作り手のこだわりをはじめとするいろんな要素が詰まった時計だと感じましたね」

「SATELLITE WAVE」のケースデザインにおいてイメージしたのは地球である。初代モデルではラウンドしたケース形状を採用し、ケースサイドには経緯線を思わせるグリーンのラインを施した。さらにガラス上にベゼルを配し、地球を回る衛星の軌道を想起させるものにするなど、そのコンセプトは徹底している。最新モデルではケースの薄型化が図られたためカーブ形状がゆるやかになってはいるものの、そのフォルムは初代モデルのコンセプトを引き継いだものだ。

多層文字板とスパイラルパーツが表現する宇宙

「SATELLITE WAVE」はダイヤルのデザインも独創的である。宇宙船のエンジンをイメージしたというそのデザイン思想は最新モデルでもしっかりと踏襲されているが、さらに多層文字板を採用することで奥行きのあるデザインへと進化した。しかも「SATELLITE WAVE」のアイコンともいうべき、ダイヤル外周をぐるりと囲むように配されたスパイラルのパーツは、最新モデルでも健在だ。

03

ロケットのエンジンをイメージしたというダイヤルは、多層構造にすることで初代モデルよりもさらに未来的に。男性のハートを刺激するデザインだ。

04

ダイヤルの外周に配されたスパイラルパーツは、宇宙から降り注ぐ「光」や「時刻データの電波の波長」をイメージしたもの。シチズンでは、このパーツを「形として意味のある意匠」と捉え、“SATELLITE WAVE”の象徴的デザインと位置づけている。

「『SATELLITE WAVE GPS F990』の面白さに、ディスク針を採用したことが挙げられます。腕時計ってりゅうずもそうなのですが、やはり時分針を用いるからこそ腕時計としてのデザインが成立する。もちろん最新モデルでも時針、分針、秒針は存在しているわけですが、ディスク針を多用することによって、精密なプロダクトであったり、未来的な計器であったりと、いろいろな要素を感じさせるデザインになっています」

しかも、そのディスク針は厚さわずか百数十ミクロンという極薄パーツ。「さり気なくすごい技術が詰め込まれているという、日本人好みの作り込み」も篠田さんの琴線を刺激したようだ。

「また最新モデルは時分針に夜光塗料が使われているので、暗がりで光るとグリーンになるというさり気ないアップデートがある。2作目だからこそ単純な復刻ではなく、細かなディテールでもしっかりと進化しているのは好ましいですよね」

初代モデルから連綿と続く同社の時計はもちろん、F990も意識したのは、時計としての視認性を高めること。そのため、時針、分針、秒針をできるだけ違う形にすることでそれぞれが識別しやすく、時刻をしっかりと判読できるものにした。また、初代モデルではグリーンの発色を優先したため、夜間に時刻を読み取れないというユーザーからの指摘があったという。これを受け、「SATELLITE WAVE GPS F990」ではグリーンの樹脂と夜光塗料を併用。さらにインデックスにも夜光塗料を塗布することで、実用面でもより“一般的な時計”を意識した仕様となった。

05

時分針の形状は初代モデルを踏襲しているが、最新モデルでは夜光塗料を塗布し、暗闇でも“グリーンに”光る仕様とした。

細部をブラッシュアップさせ“シチズンらしさ”を構築

06

ラグの形状は初代モデルから変更され、「SATELLITE WAVE F100」のフォルムの特徴でもあるエッジを生かした面構成を採用している。これにより、時計全体がより引き締まった印象となった。

ラグも、初代モデルの丸みを帯びた形状から直線的かつ立体的なデザインに、さらにプッシュボタンもオープンワークを採用した形状に変更された。これは2014年に発売された「SATELLITE WAVE F100」の意匠を採用したものだ。過去モデルのオリジナリティある印象的なデザインを融合させることで、徐々にシチズンのスタイルを確立させていく狙いがあるという。

07

2時位置と4時位置のプッシュボタンを同時に押すことで、ホームタイムとローカルタイムを瞬時に入れ替え可能。そのスピードもさることながら、6時位置に設けられた針とディスクがダイナミックに動く様子もかなり面白い。

3つのカラーに込められたコンセプト

「奇しくも、今年はグリーンの時計が増えましたが、2011年に『SATELLITE WAVE』を初めて見たとき、このカラーはインパクトがあったし不思議な感じがしましたね」

「SATELLITE WAVE GPS F990」では3つのカラーバリエーションを用意。初代モデルに採用されたグリーンをイメージカラーとしつつ、新たに2色を追加した。そのグリーンがイメージしたのは、電離層に輝くオーロラ。それは、この時計の動力源である太陽の影響によって起こる現象であることから、グリーンをキーカラーとした。また、新たに追加されたモノトーンのモデルは、漆黒の宇宙に浮かぶ人工衛星をイメージ。しかもこのモデルのみ、ダイヤルの立ち上がり面をホワイトに着色して印象を変えている。そしてシチズン100周年記念モデルは「光が時に変わる瞬間」をイメージしたゴールド×ブラックのカラーリングを採用し、他とはひと味違う、エレガントな雰囲気を創出している。

「モノトーンのみダイヤルの立ち上がり面を白くしていたり、100周年記念モデルは分針の根元までゴールドに着色されていたりと、モデルごとに微妙に仕様を変えている。『SATELLITE WAVE GPS F990』のエモーショナルな魅力につながっていると思いますね」

単にルックスが斬新であるだけではなく、GPS衛星電波という革新的な技術を軸にデザインコンセプトも確立した「SATELLITE WAVE GPS F990」。デザインから機能、ディテールに至るまで一貫したストーリーが流れる、シチズンらしいタイムピースである。

08

イメージカラーのグリーン(CC7005-16E/中央)をはじめ、モノトーン(CC7005-16F/左)、そして100周年記念モデルとしてゴールドをあしらったモデル(CC7005-16G)の3色がラインナップ。価格はすべて34万円+税、世界限定各1,500本。

「なぜ精度の高い腕時計が日本人に必要だったのか」。篠田さんによる、語り尽くせぬ「F990」の魅力はWebマガジン「&GP」にて

(取材・文/竹石祐三 写真:江藤義典)