「Because I am a Girl」賛同について
シチズン クロスシーは、Because I am a Girlキャンペーンに賛同し、世界の女の子・女性たちを応援します。
Because I am a Girl は、国際NGOプラン・インターナショナルが、日本をはじめ、イギリス、オーストラリア、オランダ、カナダなどで展開しているグローバルキャンペーンです。途上国の女の子や女性たちは、貧しさの中、「女の子・女性であること」で、社会の底辺に置かれ、より困難な状況に直面しています。
しかし他方で、女の子や女性たちに力を注ぐこと、教育や学ぶ機会をもたらすことが、彼女たち自身だけでなく、家族や地域、さらには国にとっても、貧困削減につながることが証明されています。
シチズン クロスシー は、Because I am a Girlキャンペーンのコンセプトに賛同し、売上の一部をプラン・インターナショナルに寄付し、途上国の厳しい状況にある女の子・女性たちの人生を応援します。
ネパールにおける給水・衛生プロジェクト
シチズン クロスシーは、2018年6月から2019年6月まで、ネパールの中部、マクワンプールの2つの地区と1つの中学校において、“安全で衛生的な給水・衛生設備を利用できる環境をつくること、そしてジェンダー平等の視点に立って衛生習慣を実践するための支援”を実施しました。
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プロジェクトの背景 ~ネパール マクワンプール郡の現状~
この地域では、2015年4月の大地震で郡内の多くの給水・衛生設備が損壊し、トイレの利用率が下がっていることに加えて、水衛生環境改善活動の優先度が低い状況にあります。
給水設備も老朽化し、水量・水質ともに問題があるとされています。
この地域の女性たちの課題
- 住民たちはやむを得ず、家から遠く離れた川や湧き水から日常的に水を汲んでいる状況で、水汲みの作業は女の子や女性たちの仕事とされている。
- 水汲みに労力と時間を費やしてしまうため、勉強や育児をするための時間、生産的な活動に充てる時間が奪われている。
- 給水設備が機能していないため、安全な水を十分に得られない状況に加えて、トイレの老朽化も著しく、女性たちは不衛生な学習環境に置かれ、適切な衛生習慣も身についていない。
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~シチズン クロスシーによる支援~
マクワンプール郡にある2つの地域と1つの中学校への給水設備の設置と、地域住民1,197人と1つの中学校の生徒605人と教師22人 合計1,824人に対し、水衛生に関する意識啓発や月経衛生管理、また今後も継続して給水設備のを使用出来るようにするために、運営・管理体制についても支援を実施致しました。
給水設備の設置とトイレ修繕
対象地域にて水源等に関する詳細な事前調査を実施したうえで、水源の保護、土砂の掘削から排水バルブの設置まで行いました。
2つの地域で、合計240世帯と3施設に水栓を設置、1つの中学校でも給水施設を設置しトイレの修繕も行いました。
貯水タンクの基礎部の建設の様子
パイプライン設置のための土砂掘削
設置された水栓
デワキ中学校に設置された水栓
記念プレート
水衛生に関する意識啓発
583名に手洗い習慣などの水衛生に関する意識啓発イベントを実施しました。
また、家庭における水の管理やゴミ処理方法に関する研修も実施しました。
デワキ中学校の保護者向けの意識啓発イベントの様子
意識啓発イベントにて手洗いのデモンストレーション
給水設備の運営・管理体制強化
給水設備の運営管理委員会を設立し、給水設備の運営方法に加えて、ジェンダー、障がいのある人、女性、子ども、カーストなどの身分に関わらず、給水設備は地域住民皆が使用でき、かつ使用しやすいものになるように研修を行いました。
給水設備の運営・管理を担う委員会設立のための会合
給水設備の運営・管理のための研修
月経衛生管理トレーニング
水と衛生、月経衛生管理、生理用ナプキンの作り方に関する研修を322人の女の子と女性に対して合計16回実施しました。
女の子や女性に対する月経衛生管理の研修
研修のグループワークの様子
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プロジェクトの主な成果
・対象地域の住民1,197人、対象校の生徒605人と教師22人が安全で衛生的な給水衛生設備を継続的に利用出来るようになった。
・適切な衛生習慣を実践することができるようになり、女の子や女性たちがこれまで水汲みに割いてきた時間を、勉強や収入向上のための生産的な活動に充てることができるようになった。
・水衛生管理委員会や学校関係者が給水設備の運営・管理能力を身につけた。
・ジェンダー視点を取り入れた、水と衛生、月経衛生管理に関する住民や学校関係者への意識啓発と能力強化がなされた。
・再利用可能な布ナプキンが使用され、女の子が女性が人前でも自信を持って月経に関して話すことができるようになった。
・対象校で、女子トイレに生理用ナプキンを交換する場所が設置されるようになった。
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現地の声
家に水栓が出来て安心して過ごせるようになったことが、一番嬉しかったことです。水浴びや、経血がついてしまった衣類や布ナプキンの洗濯が、以前は恥ずかしくてなかなかできませんでしたが、今はできるようになりました。
(チナ/タハラ市第9区 学生18歳)
私たちの学校には、2時間かけて通学してくる人もいて、学校で飲料水を手に入れることができないことは問題でした。このプロジェクトにより、水を得るために授業に遅れることもなくなりました。また、衛生に関する研修は私たちの意識を変えました。毎朝の集会で適切な衛生習慣について話したり、生徒たちが交代で学校の美化活動もしています。
(プラバット/デワキ中学校生徒 14歳)
今まで月経中の生徒は、学校を4~5
日欠席しており、月経について人前で話すことはタブーとして避けられていました。私は、月経衛生管理のフォーカル・ポイントとなり、学校にいる間に生理になった生徒でも容易にナプキンを手に入れる仕組みになっています。
学校で女子生徒が安心して過ごすことが出来るようになりました。
(ウマ・タパ/デワキ中学校教師)
私たちのコミュニティに、長年の夢であった給水設備ができて本当に嬉しいです。プロジェクトは、女性のキャパシティを向上させ、家庭やコミュニティにおける水と衛生に関する社会規範を変容させることに貢献したと思います。
(ラディカ・ハマル/マクワンプール・ガディ・ルーラル市第4区 給水設備運営管理委員会メンバー)
今までこのコミュニティでは、水の入手が課題で、家から水汲み場までが遠いことに加え、雨季や体調不良のときにはもっと大変な作業でした。
住民が給水設備の設置のために協力をして、無事に設備を完成することができました。
(ラム・プラサド・ティマルシナ/マクワンプール・ガディ・ルーラル市第4区議長)
シチズン クロスシーは、あなたとともに、世界の女の子を応援し続けます。
過去の活動
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2013年
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2014年
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2015年
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2016年
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2017年
ネパールにおける女の子のための月経衛生管理プロジェクト
シチズン クロスシーは2017年3月から2018年2月まで、ネパールのコシ県モラン郡にある8つの村において、“女の子たちが月経期間中も快適な環境で授業を受けられるようにするための支援”を実施しました。
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プロジェクトの背景 ~ネパール コシ県モラン郡の現状~
この地域では月経忌むべきもの、不浄なものであり、月経中の女性はけがらわしい存在であると考えられています。月経について公に話すことはタブーであり、その悩みも口にしてはいけません。また、学校は衛生設備が整っていないので、女の子たちは月経中、快適に授業を受けられる環境にはありません。
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~シチズン クロスシーによる支援~
モラン郡にある32校の中学校・高校の生徒、計6845人と、地域住民1万1,410人に対し、女の子たちが月経期間中も快適に授業を受けられるようにするための、また長期的には、地域の人々の月経に関する知識を深め、女の子や女性への差別や偏見を軽減するための支援を実施しました。
布ナプキン製作コンテストの様子
役を演じる生徒や住民と、
劇に見入る人々
月経衛生管理トレーニング
学校の生徒たちや地域の人々に対し、衛生的な月経管理、月経にまつわるタブーによる差別や偏見などについて学ぶ月経衛生管理トレーニングを218回実施し、計7,821人が参加しました。
啓発イベントの実施
地域の人々に対して計8回、学校で計64回イベントを実施。再利用可能な布ナプキンの製作を学ぶコンテストや、月経衛生管理に関するクイズ大会、啓発劇の上演やスピーチコンテストを開催しました。
メディアや演劇、啓発映画を利用した知識普及
ラジオ番組を36回、テレビ番組を2回放映。また路上演劇を32か所で上演、啓発映画を16か所で上映し、月経衛生管理についての知識を広めました。
学校の衛生環境の改善
32校で、校内の衛生環境を改善する月経衛生管理クラブを結成。校内に「月経衛生管理スペース」を設置し、布ナプキンを常備していつでも購入できるようにしました。
また、トイレ・給水設備・手洗い場の修繕も行ったほか、外壁に月経管理に関するイラストやスローガンを描いたり、教材を配布しました。
布ナプキンの普及
女の子を対象に、安価で再利用可能な布ナプキンの製作を指導するトレーナーを育成するためのトレーニングを実施しました。また成人向けには、布ナプキンを商品化して販売する方法を、地域の女性たちに指導するトレーナーを育成するためのトレーニングを実施しました。
保健キャンプの実施
保健キャンプを10回開催。延べ1776人が産婦人科医による簡易健康診断を受診しました。
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プロジェクトの主な成果
・対象地域で、「再生可能な布ナプキン」の作り方を習得し、技術を普及するトレーナーが200人育成されました。
・清潔なナプキンを使う女の子や女性が、14%からほぼ100%に急増しました。
・女性起業家による安価な再生利用可能な布ナプキンの製作と販路が構築されました。
・月経について人前で話せなかったり、月経のために学校を休む女の子が大幅に減りました。
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現地の声
ガーナにおける女の子のための理数科学力向上支援プロジェクト
シチズン クロスシーは2016年3月から2017年4月まで、ガーナのセントラル州にあるエクムフィ郡において、“女の子のための理数科学力向上支援”を実施しました。
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プロジェクトの背景 ~ガーナ セントラル州の現状~
セントラル州は、ガーナ10州のなかで3番目に貧しい州 で、総人口は約5万2千人で男性が46%に対して女性が54%を占めます。ガーナ政府が産業や技術の振興を担う人材の育成を教育目標として掲げているにもかかわらず、セントラル州のエクムフィ郡においては、女の子の理科と数学に関する学習到達度が男の子よりも低いのが現状です。
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プロジェクトスタート~シチズン クロスシーによる支援~
セントラル州、エクムフィ郡で暮らす女の子103人に対し、理科や算数など、伝統的に男の子が好きで得意と考えられてきた科目の学習をシチズン クロスシーは支援しました。それにより女の子たちは、将来の選択肢を広げるほか、女の子を取り巻く課題を解決する能力とリーダーシップを向上させることができました。
理数科教育の重要性に関する意識啓発活動
長老などをはじめとする地域リーダーをはじめ、地域住民に対し女子教育、とくに理数科教育の重要性に関する意識啓発活動やトレーニングをおこないました。
ガールキャンプの実施
合計103名の女の子を対象とし、算数と理科を勉強するための8日間のガールキャンプ を実施しました。
また、ガールキャンプに参加した女の子の学習フォローアップ や、理数科クラブの結成から活動までの支援をおこないました。
理数系教師のトレーニング
対象12校から選ばれた理数系教師26人が、4日間のトレーニングを受けました。創造的な授業、教室運営、わかりやすい副教材の作成について学びました。
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女の子からのメッセージ
このプロジェクトを受けて、将来の夢へ向かって頑張る女の子たちからメッセージが届きました。その一部を紹介します。
「逆境に負けずに夢をかなえたい」(ビクトリア 13歳)
ビクトリアは生まれてすぐに母親が家を出てしまい、祖父母に育てられました。学校には行かせてもらえましたが、学用品を買うお金は、自分で稼がなくてはなりませんでした。遠くまで、パイや魚などを売りに出かけて、売上の一部で、自分の制服や学用品を買い、残ったお金は祖父が日常品を買うためにした借金の返済に充てていました。
「銀行に勤めるのが夢です。高校進学を希望していますが、数学がとても苦手でした。しかし、キャンプに参加したことで、数学への苦手意識をなくすことができました。もっと数学を勉強しようと心に決めて、以前よりも先生たちに積極的に質問するようになりました。このプロジェクトのおかげで努力すれば何でもなれると思うようになりました。
キャンプが終わってからは理数科クラブのメンバーになりました。
そして、私たちの下級生たちも理数科クラブを続けてくれると嬉しいです。」
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プロジェクトで得られた成果
・78%の女の子が高校進学の際に理数系科目を優先的に専攻したいと回答しました。
・対象学校でのリーダー的な役割(生徒会やクラブなど)を担う女の子が10%増加しました。
・教師と生徒の関係性に改善が見られました。
・理数科クラブの存続のための関連の教育施設や行政担当官との協力体制を整えることができました。
・地元メディア(テレビ、新聞)にも取り上げられ、女の子の理数科教育の重要性を広く訴えることができました。
シチズン クロスシーは、あなたとともに、世界の女の子を応援し続けます。
マラウィにおける女の子のための生計向上支援プロジェクト
シチズン クロスシーは2016年3月からマラウィの南部州ムランジェ県のジュマとンカンダの2つの伝統的首長区(トラディショナル・オーソリティ:TA)において、“女の子のための生計向上支援”を開始しました。
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プロジェクトの背景 ~マラウィの現状~
マラウィでは毎年のように雨季には洪水、乾季には干ばつが発生しています。
2015年1月からの大雨とそれに伴う洪水では、100万人を超える人々が被災、うち約34万人が家を失いました。
約12万人の農業従事者、さらにその農地の4万2,000ヘクタールが被災し、市場に流通するはずだった穀物が10万トン、深刻な経済的損失を受けました。
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プロジェクトスタート~シチズン クロスシーによる支援~
南部州ムランジェ県のジュマとンカンダの2つの伝統的首長区(トラディショナル・オーソリティ:TA)に暮らす女の子・女性の収入増加を目的としたプロジェクトを開始しました。
15才から35才の女の子・女性合
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プロジェクトの経過
1.村落貯蓄貸付のトレーニング
小規模ビジネス管理、会計管理、トマトや米などの換金作物の栽培技術や販売に関するトレーニング をおこないました。
2.キャッシュ・フォー・ワーク(労働対価による支援)
女の子・女性合計80人が、2週間の植林事業に参加し、7500MWK(約1200円)の給与を受け取りました。女の子と女性の収入増加となるほか、地域の緑化により、洪水対策にもつながりました。
植林にはみんなが熱心に参加しました
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ケースストーリー
トマト販売から、米の栽培や養鶏へ事業を拡大したアイダ(32歳)
アイダはシングルマザーとして、1人で3人の子どもを育てています。プロジェクトに参加する前は収入が低く、3人の子どものための生活必需品を買うこともできませんでした。
1,000MWK(約150円)を村落貯蓄貸付グループから借り入れ、それを資本にしてトマトを売り始めると、1ヶ月で約20,000MWK(約3,000円)の売り上げがありました。
売り上げの一部で、壊れた家の屋根を修理し、子どもの学用品や制服代に充てました。さらに、米の栽培と養鶏も始め、事業を拡大しました。
シチズン クロスシーは、あなたとともに、世界の女の子を応援し続けます。
パキスタンにおける女の子のための教育プロジェクト
シチズン クロスシーは、2015年1月から2015年12月まで、パキスタンのギルギット・バルティスタン州ディアメール郡のイスラム女子学校2校において公教育カリキュラムの導入と教室や給水・衛生設備などの学習環境を整備する支援を行いました。
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プロジェクトの背景
~パキスタン ギルギット・バルティスタン州ディアメール郡の現状~
(左図)パキスタン地図(赤枠部分ギルギット・バルティスタン州)
(右図)赤枠部分がディアメール郡
この地域は、パキスタン埼北に位置する乾燥した山岳地帯で最も開発が遅れた辺境地域です。
歴史的にも部族文化と宗教指導者の影響が強い父権社会で、人々は自分が属する部族の行動規範や価値基準に従いながら生活しています。
この地域の女性たちの課題
- 教育の理解が低いうえ、自治体の予算不足から教育環境の整備が進んでおらず、識字率は男性で30%、女性ではわずか2%に留まっている。
- 女性が教育を受けている割合は20%と、州の中で最も低い水準。女の子の教育の場が限られているうえ、教育設備が整っていないことが問題。
- 教室やトイレなどの学校施設は、地域で入手できる簡易素材で造られているため、安全性や衛生面で問題を抱えている。
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プロジェクトスタート ~シチズン クロスシーによる支援~
このような状況を少しでも改善するために、イスラム女子学校2校に対して、公教育カリキュラムを導入するとともに、教室や給水・衛生設備などの学習環境の整備や女子教育促進のための意識啓発活動や学校運営に関する支援を実施致しました。
プロジェクト対象校の正式決定
12人の宗教指導者で構成する諮問委員会と協議しながら、貧困の度合い、ニーズの高さ、児童数などを考慮しプロジェクト対象校2校を決定しました。
Jamia Arabia Ishaat-ul-Uium (Chowat Valley Thore村)
Ayesha Sadiqa-tul-Banat (Istaar Valley Hudur村)
教室・給水・衛生設備の建設
2校のニーズ調査の結果に従い、各校に新たに1棟1教室、トイレ1棟、手洗い場を建設しました。建設費の約30%を地域の人々が未熟練労働や地元で入手可能な資材提供を行うことで負担しました。
校舎の外観1
校舎の外観2
真新しいトイレ
快適な環境で勉強できるようになりました。
設立記念プレートの前で
校舎の外観
新しい教室で授業を受ける子どもたち
設立記念プレートの前で
学校運営委員会の設立
2つの学校それぞれで、イスラム女子学校の実質的な責任者である宗教指導者に対して、学校運営委員会の必要性と責任について説明し、合意を得ました。
女性教師の採用
学校運営委員会により、女性教師として働く基準を満たした最低8年生(中学校)を卒業した女性を公募し、村出身の女性をそれぞれの学校で1人ずつ採用することができました。
公教育カリキュラムの導入
簡単な能力別テストを行い、児童を学年別に分け、月曜日から土曜日まで1日1時間30分、新任の女性教師による公教育の授業を受けるようになりました。
新任女性教師のトレーニング
新任女性教師2人を対象に、専門のトレーナーによる5日間の能力強化トレーニングを実施しました。
教材の支給
新たにウルドゥー語、英語、算数、幼稚園児用の本4種類を合計900冊発注し、新しい教科書を利用して授業ができるようになりました。
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プロジェクトの成果
- ・これまで公教育の実施に否定的だった宗教指導者たちに働きかけた結果、彼らの女の子に対する公教育の考え方を変えることができました。
- ・学習環境の整備が実現し、保護者や周囲の人々の理解が高まったことで、学校で学ぶ児童数が増加しました。
- ・積極的に能力の高い女性教師を雇用し、トレーニングしたことで授業の質を担保することができました。
- ・児童の保護者たちが女性教師の給与の支払いを負担するなど、積極的にプロジェクトの成果の維持に努めているため、公教育のクラスを継続することができています。
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現地の声
この学校で、新しい現代的な教育を受けることができてとても嬉しいです。新しい教室も快適です。トイレがあって、手洗い場も付いています。英語のアルファベットの読み書きができるようになりました。新しい単語も覚えて、その意味も理解できるようになりました。まだこの学校にきていない女の子たちもこの学校に通えるようにしたいと思っています。
(マリウム/1年生)
学校に行くのが大好きです(ソビア/幼稚園クラス)
こどもたちを教えるのはとても楽しいです。こどもたちも勉強に興味を持って、活発に質問するようになりました。大変だったのは、こどもたちのトイレや手洗いをちゃんとさせること、私1人で教える人数が多かったことです。私自身としては、年長の学年や中画工の女の子たちを教える能力をつけたいと思いました。
(女性教師)
シチズン クロスシーは、あなたとともに、世界の女の子を応援し続けます。
マリにおける女性の生計向上プロジェクト
シチズン クロスシーは、2015年1月から2015年12月まで、早すぎる結婚が多くみられる西アフリカのマリ セグー州バルエリ活動地域で、生計向上を目的とした支援を行いました。
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プロジェクトの背景 ~西アフリカ マリの現状~
マリでは、社会文化的背景やイスラム教を中心とした宗教的な事情により、18歳以下の女の子たちが結婚を強いられるなど、早すぎる結婚が数多く見られます。
この地域の女性たちの課題
- 早すぎる結婚により、女の子たちの教育や職業スキルを習得する機会を失います。
- 経済的な力を持たない女性の立場は弱く、家庭の中での発言力や決定権を持てません。
- 年長の夫から暴力と虐待の被害者になることも多く、さらに離婚して経済的な庇護者を失った場合、教育と職業スキルがない女の子が収入を得る手段を見つけるのが極めて困難です。
- こうした女性から生まれた子どもは同じように貧困の中で育ち、教育の機会を奪われ、様々な権利を侵害されるという悪循環が生まれる危険があります。
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プロジェクトスタート ~シチズン クロスシーによる支援~
このような状況を少しでも改善するために、早すぎる結婚が多くみられるマリのセグー州バルエリ活動地域で、生計向上を目的とした支援を行うことで、女性の経済的自立を後押ししました。
1.女の子と若年層の女性を対象とする職業訓練
■早すぎる結婚のリスクが高い、学校を中途退学した女の子の選定と職業訓練
年齢、家族の経済状況などから判断をして、最もリスクが高くかつ引っ越しの予定がない女の子15名を対象者として選出しました。
15人の女の子たちは、それぞれの関心に合わせて、5か月間の職業訓練トレーニングを行いました。職業訓練センターまでの移動手段とその費用についても支援しました。
女の子たちは、熱意をもって訓練に参加し、最終的には当初の目的通りに基礎的な技術を身に着けることができました。
基礎的な技術までは確実に身に着けることができました。
今後は、複雑で洗練された洋服を作る技術を身に着けることが期待されています。
ミシンの使い方を練習する女の子たち
・石鹸製造コース(3人)
違う種類の石鹸の作り方を習得したのに加え、泡立ちを良くするための難しい技術も身につけることができました。
濃淡のバリエーションが豊かな藍色(インディゴ)の染色が出来るようになりました。また、様々な色の混ぜ合わせによる複雑な染色技術も身につけることができました。
ただ1人の染色コースの研修生
2015年10月11日、プラン・ジャパンと女性推進・子ども・家族担当省(Ministry of Promotion of Woman, Children and the Family)が共催した「国際ガールズ・デー」のイベントが実施されました。これにあわせて、訓練生の女の子たちへの道具と資材の贈呈式が執り行われました。
このイベントには、ケイタ・アミナタ マリ大統領夫人が列席し、同日から始まった大統領夫人が主導する「早すぎる結婚をなくす国家キャンペーン」の始まりを宣言するとともに、大統領夫人が訓練生の女の子ひとりひとりに支給品を手渡しました。
ケイタ・アミナタマリ大統領夫人(写真中央)と女の子たち
2015年6月に、すでに早すぎる結婚をした女性たち10人を選定し、収入増加支援の一環として、地元パートナー団体による5日間の技術トレーニング(理論3日、実習2日)を実施しました。女性たちは地域で成功が見込まれる商売を自分で選び、必要な道具や資材を提供しました。
社会開発経済相互扶助サービス局の担当者が、女性に商売に使う品物やヤギを手渡ししました。
2.地域の成人女性の農業を通じた生計向上支援
2015年6月に、トマト、オクラ、キュウリ、キャベツ、ズッキーニ、セロリ、なす、パプリカ、ビートなど合計19種類の種子約1.6キログラム分と肥料20キログラム分、さらに農薬を学校菜園用に支給しました。
女性たちへの種子支給
水やりをする女性
■給水用のソーラーパネルの設置
2015年7月にソーラーパネルと用水路の設置を行いました。
この結果、女性たちの水汲みの労力が軽減し、畑仕事が以前に比べて楽になりました。
3.「早すぎる結婚監視委員会」のフォローアップ
- ・村長、宗教指導者たちなど地域リーダーへの意識啓発活動(2回)
- ・「早すぎる結婚監視委員会」メンバーに対するフォローアップ研修などを実施しました。
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プロジェクトの成果
- <地域の動き>
- ・プロジェクト対象のある村では、宗教指導者が花嫁の年齢を問題視し、13歳から16歳の10人の女の子の結婚式を拒否しました。
- ・「早すぎる結婚監視委員会」メンバーが、13歳から15歳の4人の女の子が学校を中途退学して結婚をすることを知って、延期するように説得し、結婚が中止されました。
- <行政の動き>
- ・バルエリ市長は、18歳に達していないカップルには、結婚証明書を発行しませんでした。
- ・早すぎる結婚の慣習はバルエリ州に長く根付いてきたものであり、完全になくすことは非常に難しいとの判断から、行政は公立学校の教師とイスラム学校(マドラサ)の教師に対して、教師と子どもを対象とする「子どもの権利」についてのトレーニングを教育現場で活発化させてほしいと要望を出しました。
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現地の声
石鹸づくりに参加したファティ・ディアロ(13歳)
「父が出稼ぎに行った1年間、私は学校に通うことができず、中学1年で中途退学しました。先生もとても残念だと言ってくれましたが、私も悲しい想いをしました。希望を失っているときに、このプロジェクトの話を聞き、私が参加できることになりました。いくつかの仕事を選べと言われたので、好きな石鹸づくりを選びました。学校は諦めましたが、トレーニングを通じて学ぶことができて嬉しいです。」
「様々な意識啓発活動の結果、徐々に早すぎる結婚の弊害が理解されるようになってきました」
(ムサ・クリバリー/75歳 村長)
「私は大きくなったら医者になって子どもの役に立ちたいです。私は両親に、19~20歳になる前に子どもを結婚させると、出産が理由で亡くなったり、赤ちゃんが亡くなるような、予想もしなかった悪い結果を招くことを教えたいです。」
(バティスタン/14歳 小学6年生)
シチズン クロスシーは、あなたとともに、世界の女の子を応援し続けます。
パキスタンにおける女の子のための教育プロジェクト
シチズン クロスシーは、2013年12月より、パキスタン最北に位置するギルギット・バルティスタン州ディアメール郡において、"女の子が教育を受けやすい環境づくりのための支援"を実施しました。
プロジェクトの背景 ~パキスタンの現状~
(左図)(赤枠部分ギルギット・バルティスタン州)
(右図)ディアメール郡の中心部から山道を車で片道2時間以上
パキスタンでは、国民の多くが農業で生計を立てており、約4人に1人が国際貧困ライン(1日1.25ドル)以下の厳しい生活を送っています。歴史的にも部族文化と宗教指導者の影響が強い父権社会で、人々は自分が属する部族の行動規範や価値基準に従いながら生活しています。
この地域では、環境設備不足や教育の場が限られていることから、女の子が教育を受けやすい環境にはありません。
プロジェクトスタート ~シチズン クロスシーによる支援~
このような状況を改善するために、シチズンが支援する教室建設プロジェクトが2013年12月から2014年6月末まで行われました。
宗教指導者と学校との話し合いを重ねた結果、プロジェクトの内容や実施に対して理解を得ることができ、ギルギット・バルティスタン州ディアメール郡にある10の女学校を対象に、学校の建設だけでなく、給水・衛生施設の設備、清め洗い場の設置などが改善されました。
- 1. 公教育の導入開始
- 2. 学校・設備を耐震性のある構造に改修すること
- 3. 給水・衛生施設の設備、清め洗い場の設置など
プロジェクトの成果
イスラム教の経典コーランのほかに、新たに公
用語であるウルドゥー語、英語、算数を学ぶこ
とができるようになりました。
教育施設が充実したことで、多くの効果を得ることができました!
- 1. 建物だけでなく、給水・衛生施設の設備、清め設置などが改善
- 2. 教室の外や老朽化した教室を借りる必要がなくなり、暑い日も扇風機がついた快適な教室で学べる環境が整った
- 3. プロジェクト開始当初、約1,000人だった子どもが、約1,300人に増加
- 4. 現在、学校運営委員会メンバーが運営
- 5. ギルギット・バルティスタン州政府が、このプロジェクトに関心を示し、運営への財政支援について検討を開始
衛生設備が整い、快適に過ごせる
ようになりました。
手洗いや飲み水の不足に悩まされる
ことがなくなりました。
以前のように、教室の外、あるいは老朽化した
教室を借りる必要がなくなりました。
現地の声
皆様のお力によって、たくさんの女の子に笑顔がやどり、うれしい声が現地から届きましたので、一部をご紹介します。日本にいると、当たり前のようにある教育の場ですが、改めて、"当たり前"ではないのだと実感させられます。世界の女の子たちみんなが、自分の意思をもち、笑顔と希望にあふれた時間を刻めるよう、願ってやみません。
シチズン クロスシーは、あなたとともに、世界の女の子を応援し続けます。
マリにおける早すぎる結婚対策プロジェクト
シチズン クロスシーは2014年1月からマリ共和国のセグー州にあるバリエリという農村地域において、"女の子たちが早すぎる結婚をしないための活動の支援"を始めました。
プロジェクトの背景 ~マリ共和国の現状~
西アフリカのマリは、首都バマコから160キロメートル離れた貧しい農村地域です。社会文化的背景やイスラム教を中心とした宗教的な事情により、18歳以下の女の子たちが結婚を強いられるなど、早すぎる結婚が数多く見られます。特にこの地域では、女の子の早婚率*が20.5%と高いうえに、男の子の通学率40%に対し、女の子は26%しかないことがわかっています。
- *2012年にプラン・インターナショナルの活動地域全体で行われた調査における女の子の早婚率
プロジェクトスタート ~シチズン クロスシーによる支援~
このような状況を少しでも改善しようと、親や宗教指導者、政策決定者を対象とした意識啓発活動や、生計向上活動、女の子たちの職業訓練など、シチズンが支援するプロジェクトが2014年1月から始まりました。
村長や宗教指導者、議会の長など主要な関係者に
よる集会の様子
パートナー団体との契約
マリで性と生殖に関する健康、子どもの保護や環境保護まで幅広い分野で活動しているERAD(Equipe de Recherche et d’Appui pour le Developpement-Development Research and Support Team)と契約を締結。
地域の人々や関係者へのプロジェクトの説明
プロジェクト担当スタッフが、議会や警察、赤十字やNGOなどを含む、この専門分野の様々な関係者を訪問し、このプロジェクトについての説明を行い、理解と協力を求めました。また住民集会では計778人が参加し、プロジェクトの説明を受けました。
「早すぎる結婚監視委員会」の設立、メンバーへのワークショップ開催
早すぎる結婚の問題を迅速に発見し、子どもたちを守る役割を担う委員会が設立され、委員会のメンバー78人に早すぎる結婚を含む女の子の心身を傷つける16の習慣について学ぶトレーニングを実施しました。
地域リーダー対象にしたワークショップ開催
早すぎる結婚の弊害などについて理解を深めるためのワークショップを地域のリーダー計25人に対して行いました。
プロジェクト参加者の声
地域に深く根付いた慣習を変えることは、建物を建てたり、食糧支給といった目に見える結果や成果を出しません。人々の意識を変えるためには、時間と根気強い説得が不可欠です。ワークショップを経て、プロジェクトの参加者から心強いメッセージを頂きました。
女の子たちの声
プロジェクトの始動を受けて、過去に早すぎる結婚を経験した女の子たちからメッセージが届きました。将来女の子たちが自分と同じ経験をしないことを願うメッセージです。
ジェネブ18歳
「私たちの村では、女の子は自分の結婚について、発言する権利を持っていません。結婚には口を出せないのです。拒絶すると従順でないとみなされ、家族は名誉を失い、屈辱を受けます。だから、親の願いを聞き入れるしかないのです。私は、14歳のときに、25歳の夫と結婚しました。
父の弟が私を呼んで、おまえの夫を見つけてきたと言いました。友達と別れるのが悲しくて泣きました。理想の家庭を築くという子どもらしい夢も諦めなければなりませんでした。
結婚した日は、つらくて何度も泣きました。数ヶ月後に妊娠し、体調がかなり悪くなりました。毎日つわりに悩まされましたが、家族のために料理を作らなければなりませんでした。難産でしたので、私も赤ちゃんもかなり体力を消耗しました。今でもお腹に痛みがあります。結婚したとき、私は夫や家族の世話の仕方、食事の作り方を全く知りませんでした。
私は、体が成熟するまでは妹たちを結婚させないでほしいと村役場へ頼みに行きたいと思いました。妹たちに私と同じ苦しみを味わわせたくありません。どうかプラン・インターナショナルの活動が成功しますように。早すぎる結婚をさせないように、親たちへの意識啓発活動を続けてください」
シチズン クロスシーは、あなたとともに、世界の女の子を応援し続けます。