「SATELLITE WAVE」はダイヤルのデザインも独創的である。宇宙船のエンジンをイメージしたというそのデザイン思想は最新モデルでもしっかりと踏襲されているが、さらに多層文字板を採用することで奥行きのあるデザインへと進化した。しかも「SATELLITE WAVE」のアイコンともいうべき、ダイヤル外周をぐるりと囲むように配されたスパイラルのパーツは、最新モデルでも健在だ。
「『SATELLITE WAVE GPS F990』の面白さに、ディスク針を採用したことが挙げられます。腕時計ってりゅうずもそうなのですが、やはり時分針を用いるからこそ腕時計としてのデザインが成立する。もちろん最新モデルでも時針、分針、秒針は存在しているわけですが、ディスク針を多用することによって、精密なプロダクトであったり、未来的な計器であったりと、いろいろな要素を感じさせるデザインになっています」
しかも、そのディスク針は厚さわずか百数十ミクロンという極薄パーツ。「さり気なくすごい技術が詰め込まれているという、日本人好みの作り込み」も篠田さんの琴線を刺激したようだ。
「また最新モデルは時分針に夜光塗料が使われているので、暗がりで光るとグリーンになるというさり気ないアップデートがある。2作目だからこそ単純な復刻ではなく、細かなディテールでもしっかりと進化しているのは好ましいですよね」
初代モデルから連綿と続く同社の時計はもちろん、F990も意識したのは、時計としての視認性を高めること。そのため、時針、分針、秒針をできるだけ違う形にすることでそれぞれが識別しやすく、時刻をしっかりと判読できるものにした。また、初代モデルではグリーンの発色を優先したため、夜間に時刻を読み取れないというユーザーからの指摘があったという。これを受け、「SATELLITE WAVE GPS F990」ではグリーンの樹脂と夜光塗料を併用。さらにインデックスにも夜光塗料を塗布することで、実用面でもより“一般的な時計”を意識した仕様となった。