INTERVIEWS - VOL.04

検証と改良の繰り返しを伴う、シチズンならではの開発の舞台裏を語る。

「アテッサ エコ・ドライブ GPS衛星電波時計 F950」は、前モデルからどのように進化を遂げたのか?
2011年の誕生から7年。以来、日々進化を遂げてきたシチズンの光発電式衛星電波時計。その最新モデルが「アテッサ エコ・ドライブ GPS衛星電波時計 F950」だ。その前に開発された「F900」と、新しい「F950」の違いとは? 試作から完成までの品質管理を担当した責任者に、その誕生秘話と見た目だけでは分からないその大きな進化を聞いた。

―最終的な責任者として、試作品を徹底的にテスト&改善

今回、製品について語ってくれた野田 昌弘(のだ まさひろ)は、第2回に登場したデザイナー・井山 健二郎(いやま けんじろう)と同期入社の若きエンジニアだ。時計開発本部 時計開発部 新製品技術課というセクションに所属している。

時計開発部の所属だが、担当する仕事は試作段階の製品を徹底的にテストして、その問題点を発見すること。そして、部品の素材変更や生産工程の改善などの対策を講じ、問題点を完全に解決することだ。

「時計開発部という名称で、『開発』という言葉が入っていますが、仕事のほとんどは製品の品質テストです。そして、テストで判明した問題を解決するための『開発』が私の仕事。企画・設計が提案する新しい技術や製品を、お客様一人ひとりに問題無く提供できるかを見極める、とても重要な仕事だと感じています」と野田は語る。

担う責任はとても重い。だが、それだけに自分が担当した製品が世に出て、時計売り場に並んでいる姿を眺める喜びは、格別だという。

―部品づくりの現場まで出向いて問題点を説明し、改善を実現

試作品に対して厳正な品質テストを行なった結果、改善しなければならない、このままでは製品化ができないというような問題が判明すると、野田は部品ごとに改善策をまとめる。そして、部品の製造を担う各現場へと出かけて行く。

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単純に、「部品をこの仕様に変更せよ」と書類で指示すれば、それだけで済むように思えなくもない。だが、野田はそれでは問題は解決できなという。何しろ、発売時期は決まっており、費やせる時間や費用も限られている。コミュニケーションを密にして、一刻も早く適切な改善を行うことが必要なのだ。

「あなたがつくっている部品が、今のこの品質ではダメだということを、担当者に直接伝えます。ただ指摘するだけでは不十分です。部品のどこをどうして、どのくらい品質を上げなければいけないのか。品質を上げない現状のままだと、なぜダメなのかを丁寧に説明しなければいけません」

部品づくりの立場からは、その部品ひとつの品質が、製品全体、つまり完成品にどう影響を与えているのかを理解するのは難しいことだという。この状況と関係を、製品全体の品質をチェックする立場から、部品をつくる現場の方々にきちんと伝えないと、問題の解決、製品の改善はできないと野田は語る。

この「改善」のレベルを決めることも、野田の仕事だ。ただ、このレベルを決めることがなかなか難しい。品質のレベルが高くなるほど製造は難しくなり、コストも上がる。この製品では、どの品質レベルを「妥当だ」とするのか。最終的には野田が決断しなければいけない。そんな時、頭に浮かぶのはお客様、つまり購入してくれる消費者の顔だという。

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「お客様の立場から見て、製品をどのくらいのレベルに仕上げなければいけないか。総合的に考えて、関係者に対して明確な基準にして示すのが私の仕事です。テストをしながら、心ではいつもお客様のことを意識し、考えているのです」

量産のためのテストを終えた後も、野田の仕事は続く。量産工程で部品をどのレベルに仕上げるかを決めるだけでなく、基準を満たしているかどうか、量産工程でどう検査して確認するのか。野田はそういったことも決めなければならない。検査の手順が適切でないと、量産段階での製品の品質を守ることはできないのだ。

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「月に数千本、数万本も生産する製品では、ひとつの部品の品質に問題があるだけで、全体に大きな問題を引き起こしてしまうことがあります。部品のひとつひとつが、どのレベルの品質を達成しなければいけないか。根気強く検証して確認し、その品質が量産段階で実現できるようにしないとダメなのです」

―「F950」の検証の中で発見された課題を解決。その一歩先の機能を実現

2015年に発売された「アテッサ エコ・ドライブGPS 衛星電波時計 F900」。その進化形としての、最新のGPS衛星電波受信キャリバーF950を搭載した「エコ・ドライブ GPS衛星電波時計F950」は、GPS衛星から受信した時刻を従来の2倍の速度で針を動かして素早く表示できるように、さらにGPS受信を中心とした低消費電力化も図られたと同時に、エコ・ドライブの能力も向上。あらゆる性能が進化を遂げた。

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写真は野田が自ら愛用するF900

「キャリバーF950は、キャリバーF900をさらに洗練させたモデルです。中心になる技術は、F900で確立されていました。しかし試作段階では、新しい機能を搭載したために、F900のスペックでは顕在化していなかった問題も新たに生じました。しかし、それらの問題にも1から部品素材・形状の見直しを行うことで、解決することができました」と野田は語る。

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「私たちの仕事は、量産前にテストを行なって製品の機能や品質を検証し、できるだけ多くの問題点を発見して解決すること。でも、実際にお客様に使って頂かないと分からない、使って頂いて初めて判明した改善すべき点もあります。部品や構造だけではなく、時計の挙動を制御する電子回路やソフトウェアの仕様についても、開発の段階でお客様のユーザビリティに100%適しているかを見極めるのは、残念ながら不可能です。キャリバーF900も完成品になって、日々着用している中で初めて気づくような改良点も、実は見つかっていました。」そんな検証と改良の繰り返しの中で、キャリバーF900シリーズは品質的にも仕様的にも洗練を加えられてきた。そして当然、今後の製品にも活かされることになる。

―アテッサはシチズンの技術の結晶

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これまで、この連載に登場した人物は誰もがそうだが、野田も「アテッサ」に対して特別な想いを抱いて、開発に取り組んでいる。

「アテッサはシチズンの技術の結晶です。今は、時計に対して必ずしも技術的な先進性、性能、精度が求められている時代ではありません。もちろん、そのことは承知しています。でも技術者として、消費者の方にぜひアテッサの技術をもっと知って欲しい。その素晴らしさをもっと理解して頂けたら、何より嬉しく想います」

INFORMATION
時計開発本部 時計開発部 新製品技術課 野田 昌弘

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